■Day-2 (午後1) 金属加工工場を見学 [2014/12/09]

バスに揺られること70分、14時10分に一つ目の目的地、金属加工工場に到着。

門の前に若いカップルが数組とおっさんが2人ほどいて、張り紙を熱心に見ている。数分後、みな一様に納得ゆかない表情を浮かべて去っていく。なにがあるのかと見ると、求人広告が貼ってあるのね。

来たれ溶接工、男女不問……

正社員月給1800元(3.6万円)・皆勤手当100元(2千円)。残業手当13.8元/時間。月22日・1日8時間勤務。寮完備。


さて、工場の中に入れてもらう。若干、全体的にうらぶれたイメージが漂う。奥へ進むと、そこに前回のレポートでも多くの人が話題にしていた、電池ボックスのスプリングを作る装置が稼働している。スプリングがスルスル出てくる。なるほど、おもしろい。

装置は完全にカムで駆動されており、NCのようなヌルい世界とは対極にある。ひんぱんな段取り替えなど望むべくもない、リジッドな男の装置だ。

隣には同じような装置がもう1台あり、1人の男が熱心にメンテをしている。その手つきを見ると、どうやらこの人はかなり腕の良いメンテマンのようだ。彼は工具を置くとき、音がしないようにそっと置く。カムを機械に取りつけるときも、ウェスで丁寧に拭っている。

ぜひ声を掛けて話を聞いてみたかったのだが、言葉の壁は厚く、写真だけ撮ってその場を離れた。


工場の雰囲気は、20年前の日本の町工場と大きくは違わない。違うのは、そこはかとなく漂う猥雑感である。

たとえば設備をいくつか並べる場合。日本ならまっすぐ等間隔に並べると思う。でもここでは、ばらばらな向きに並んでいる。空いたスペースに台を置いて、また空いたスペースに椅子を置いて、というように、計画というものがほとんど感じられない。 それでも、きちんとモノが作れているのなら、これはこれでいいのかもしれない。でもこんな状態を続けていたら、不良が出たときの原因究明とか、工程の改善とかできないのじゃないかと心配になる。


それはそうとして、この工場は本当にいろいろな種類の金属加工ができる。先ほどのようなスプリングの製造の他に、プレス、絞り、抜き、シャーリング、放電、切削、レーザー刻印などなど、もうここだけでインゴットから製品まで加工できるんじゃないかというくらいである。細かい品質を抜きにすれば、確かにここはスーパー金属加工センターだ。 従業員にしても、さっきのメンテマンをはじめ、わりとストイックに持ち場を守っている。プロという感じがする。

あと、なぜかレーザー刻印機の前に乳児をだっこしたお母さんがいた。だっこされているのは5ヶ月くらいの男の子のようだ。こんな環境で育った彼には、自然とMakerの血が育まれるに違いない。



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